■小池一元コーチの総括コメント
この第1回トップエンデバーの3日間では、自分のチームに帰っても元に戻ってしまわないよう、いい習慣を付けるために要点を繰り返し確認しながら行いました。来年度にU-16アジア選手権が開催されるということも視野に入ってくるため、これまで以上に“世界”を意識し、選手達への要求も少し厳しいものになったと思います。平成19年度トップエンデバーに比べ、特に身体のコンタクトの部分、そして最重要テーマであるビジョンを全スタッフで気遣いました。ただ、初日からずっと見ていても、「見る」という習慣はなく、まだ常にフロア全体を見渡せてはいませんでした。しっかり観るということは、育成の上で絶対に欠かせない基本です。選手たちの将来を考えても、ここできちんと身につけておかないと、高校・大学など上のカテゴリーに行ったときに選手自身が困るでしょうし、指導者としてもより上のレベルを目指すことが難しくなります。ですから、全国どこの学校でも、同じように取り組んでもらいたいと思います。
今年度のメンバーは、非常に意識が高く集中力がありました。第2回のメンバーに選考されたい、そしてU-16日本代表につなげていきたいという気持ちが出てくるような刺激が多かったからではないかと思います。例年以上に、質問に対して手を上げて答える選手が多かったし、積極性がありました。U-15年代では、こういった意欲が前面に出てくると将来が楽しみです。また、今年度は2日間にわたり、例年よりも長くメンタルトレーニングに関する講義の時間をとりました。心技体と「心」の部分をつくってあげることができれば、将来五輪や世界選手権を目指すとき必ず武器になるはずです。そこで、単純にメンタルトレーニングのスキルを教えるだけではなく、物の考え方や生活習慣まで含めて、意識を高めるにはどうしたらいいかを話しました。
それから、自分で自分をチェックしていくことも大切で、今回行った目標設定はそのスタート地点となります。メンタルに関して最も大事なのは内発的動機付け、モチベーションです。やらされているのではなく、自分の好きなことを楽しむ。それも、より高いレベルにチャレンジし壁を乗り越えていこうとすることを楽しめるようにするため、野球のイチロー選手など世界のトップ選手がやってきたことをなぞりました。今回は結果目標だけでしたが、次はプロセス目標に取り組む予定です。例えば「日本代表のガードになりたい」という目標があるなら、そのためには何をするかをさかのぼって考えていく。そういった思考の訓練をしていこうと思います。メンタルトレーニングは技術や体力も毎日トレーニングするように、毎日やらないと変われない。1回2回やったから強くなることはありません。でも自分の意識を変えればプレーを変え、人生、運命も変えてしまうということを僕は信じているので、子供たちが夢を叶えられるように導いてあげたいなと思います。
さらに、今回はU-18男子強化委員のスタッフの方が足を運んでくださったのが前回と違うところです。五輪や世界選手権を視野に入れ、世界に通用する日本のオリジナルバスケットを構築していくことを考えると、やはり縦のつながりも大事だと思います。そういう意味では今回見て頂いて、我々も励みになりました。今回選ばれたのは31名ですが、全国には24万人という中学生プレイヤーがいます。特に今回意識したそれぞれのメニューのコンセプトが広く日本に伝わって、その選手たちが競い合って頂点を目指していけば、将来日本代表の好結果につながるのではないかと思います。
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