“ダイヤモンドの原石”集まる 平成19年度第2回U-15トップエンデバーの終了から10ヶ月。全国各地でのブロックエンデバーを経て、いよいよ平成20年度第1回U-15トップエンデバーがスタートした。選出された31名の中には、8月に新潟県で行われた第38回全国中学校バスケットボール大会を沸かせた選手も多く名を連ねる。それでも、はじめは整列の仕方を天田コーチに直されるなど初々しさが見られた。それを一変させたのは、開講式での木内強化本部長ら関係者の言葉だ。 木内強化本部長の第一声は「今日は、全国から最も優秀な選手をここに集めました」。そして「日の丸をつけて五輪に行く選手がここから生まれてほしい」(大滝育成部長)、「“世界”を意識して努力してください」(高橋コーチ)とスケールの大きなエールが続いた。U-15トップエンデバースタッフ以外に約20名もの関係者が駆けつけ見守る中で始まった第1回U-15トップエンデバー。この育成・普及活動は“五輪”という扉につながっており、その扉を開けようという意志が選手の中に刻まれた瞬間だった。「子供たちに“五輪”という夢、目標を与えてくれた。すごくありがたいです」(大平前スーパーバイザー) 初日の練習は「なぜ?」に答えることが中心 天田コーチの宣言から、練習はスタートした。「エンデバーのポイントは毎年同じだが、トップの皆がそのポイントを理解していなかったら全国に普及したとは言えない。だから、今日の練習では『なぜ?』と訊いていきます」。その言葉通り、最初のポイントであるパワーポジションから「なぜこのポジションが必要なの?」ととにかく質問攻めだった。昨年はビッグマンが多く、パワーポジションでしっかり腰を落とすことに時間が割かれたが、ガードが多い今年はビジョン(視野)を意識したドリブル、さらに高さのミスマッチを埋めるミートドリルに重点が置かれ、あっという間に練習時間の半分が過ぎた。 ライバルの声援のなか1on1チャンピオン決定! 休憩を挟み、練習後半は1on1から。番号順に4つのグループに分かれて勝ち抜き戦を行った。どちらがオフェンスで始まるかを決めるのは“じゃんけん”。この天田コーチのアイディアから、全体のポイントの1つである“コミュニケーション”もぐっと深まった。グループを勝ち抜いた4名で準決勝・決勝を行う前から白熱したのは、富樫選手と田渡選手のペア。はからずも全中決勝の再現となっていた。結果は、「絶対勝つ!」と気合を入れた田渡選手の勝利。その勢いに乗って戴冠となった。 ここまでで個人中心のメニューが区切りとなり、続いては2on0、3on0、3on3とチームメートとの連携を、ディフェンスを見て判断しながら行うメニューとなった。要点が多いこともあり最初はぎこちなかったが、最後はチームメートの拍手が出るようなプレーも見られた。 小倉恭志スーパーバイザーのコメント 今年度のトップエンデバーを見ても、基本的な部分がすごく定着しているなと感じます。今年のメンバーは去年と比べるとサイズ的には小さいですが、男子なのでこれから伸びる可能性も大いにあるでしょう。大事なのは気持ちで、気持ちがしっかりしているかそうでないかはちょっと練習をやっただけですぐにはっきりします。今回の合宿ではそういった面をはじめ自分に足りないものを身につけていってもらいたいです。 昨年度までは、このトップエンデバーでいったん終わりでしたが、来年から「FIBAアジアU-16選手権大会」が開催され、U-16カテゴリーがスタートするので、はっきりとした目標が出てきているのかなとも思います。もちろん、このエンデバーは普及・育成が中心で、意味をきちっと理解してほしいと思いますが、その中から1人1人のいいきっかけになってくれたらとも思います。
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