■鷲野鋭久コーチ総括コメント
3日間を終え、U-15が目指すファンダメンタルや考え方がしっかり定着しているなと、今年のメンバーを見て感じました。それは、エンデバーの元々の主旨が、全国の子どもたちがどんな環境においても技術を共有できるということなわけですから、今年で6年目ですが、ブロックエンデバーや都道府県エンデバーの先生方の尽力のおかげであるとも感じています。そのなかで、今回の合宿ではダブルクラッチシュートなど、角度を変えたものにも挑戦しました。その狙いとしては、やはりバスケットを頑張れる楽しみやエネルギーの源は、おもしろくて、何かができて感動するといったシンプルなことであるからです。ベースは変わりませんが、角度を変えてみることで、選手の興味を引き、次への活力にすることができるのです。
来年にはU-16アジア選手権があります。これからはトップエンデバーの「育成」という面だけでなく、「強化」という面も考えて、その両面をバランスよく指導していかなければいけません。ただ、トップエンデバーに集まっているのは、全国のトップクラスの選手たちです。そんなトップ選手でも、これまではそれぞれ異なる指導をされて、自分の持っている能力をただバスケットにぶつけているだけでした。そこにトップエンデバーの考え方などを伝えることで、選手としての土台を作っていく。バスケットは個性だけでやっていけるものではありませんから、土台を作って、それに則って、個を生かしていく。そういうバスケットをしてほしいと考えています。ただ勝てばいい、練習量がすべてという時代は終わりました。お互いが共通理解、正しい考え方などを持って、どんな場所でバスケットをしていても、チームとして1つに集まったときには同じバスケットができる。そうなれば、もっといいバスケットができると考えています。
U-15女子トップエンデバーのコンセプトは、角度を変えることはあっても、ベースは一貫しています。今年は角度を変えて、察知する力という形でも説明しましたが、そのためには、やはり「観る」ことが大切になります。視野を伴ったファンダメンタルを年齢の低いうちに身につければ、もっとバスケットが楽しめます。それが自分のエネルギーの源になり、心のゆとりとなって、技術の上達につながっていくわけです。もっといえば、この時期だからこそ、我慢をする力も養っていかなければいけません。トップに立つ選手にも見える部分と見えない部分があります。時間の過ごし方など、目には見えない部分でも実はプレイにつながる部分が隠されているのです。今回のトップエンデバーに選ばれた選手のなかにも、自分の何かを犠牲にしながらも努力をしている人はいます。ですから、全国の15歳以下の選手には即効性の望まず、忍耐強く、これからずっとバスケットを楽しむために、今を一生懸命に努力してほしいと思います。
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