U-14トップエンデバー第1期生 これまであった「U-15トップエンデバー」「U-18トップエンデバー」に続き、今年から始まった「U-14トップエンデバー」。全国から選ばれた30名の14歳以下の選手たちも「何をするんだろう?」と疑問を持っていたようだ。開講式で挨拶に立った福田悦男スーパーバイザーはそんな彼女たちに「君たちがU-14トップエンデバーの第1期生です。その自信と誇りを持って、2泊3日の合宿に臨んでほしい」と話の冒頭に激励を送った。そしてエンデバープロジェクトの意義を紹介した最後に「最終目標は、みなさんが日の丸を背負って、ナショナルチームとして、日本のために活躍することです。そのスタートラインに立った自覚を持って頑張ってください」と締めくくった。話を聞く第1期生たちの目はしっかりと福田スーパーバイザーに向けられ、その言葉を体全体で受け止めているようだった。 14歳の今だからこそ 初日の練習内容は、これまでU-15トップエンデバーで行われていたものとほぼ同じメニュー。しかしながら、U-15に比べて、ゆっくり、細かく、丁寧に指導しているようだった。練習に先立ち、全体指導を担当する鷲野鋭久コーチは「みなさんは14歳と言ってもサイズがある。でもこの時期に、ちゃんとした知識を得て、それを共有することが大切なのです。精神的に不安定と言われる時期の過ごし方次第で、成長してトップチームになったときの結果が変わってくるのです」と言っていた。体は大きくなっていても、まだまだ14歳。精神面や考え方が伴っていない。そこを一つひとつ丁寧に、解きほぐしながら指導することで、心身のバランスが整った選手へと成長していくのだ。「ちょっと説明が長かったかな」と笑う鷲野コーチだったが、開講式で話を聞く態度同様、選手たちは常に真剣、全力でこの合宿を過ごそうとする意欲がうかがえた。 アイシングって何? 14歳で体が大きいとはいえ、やはりまだまだ完成型には程遠い。この合宿では山下紫乃さん、田中美樹子さんという2人の専属トレーナーが帯同してくれる。練習前のテーピング、ケガのケアに始まって、ウォーミングアップ…これは日本代表チームを含むすべてのカテゴリー代表に共通するもの…の指導まで、その役割は幅広い。ウォーミングアップでは、手と足をバラバラに動かしながら進むコーディネーション系のドリルもあり、うまくできない選手たちはみんな照れ笑いを浮かべていた。そんなトレーナーさんが最後に「アイシングバックを持っている人は持ってきてください。氷を入れて渡しますから」と言った後に、慌てて戻ってきた。「ごめんなさい、『アイシング』という言葉を知らない人はいますか? アイシングには痛めたところを冷やす意味もありますが、疲労を取り除くという効果もあります。疲労を感じている人は申し出てください」と付け加える場面も。つい慣れている専門用語や、当たり前と思っていることさえ、14歳以下には砕いて説明をする必要がある。そんなところにも丁寧さがうかがえる初日の練習だった。 鈴木知香子コーチングスタッフのコメント 半日しか見ていないので何とも言えませんが、今日の選手たちを見る限りでは、緊張しているのかなと感じました。U-15で集まると、練習試合などをしていて結構知っている間柄だったり、自然と中心になる選手というのが出てくるんだけど、U-14だと「はじめまして」といったような初々しさがあります。その一方で、一般的に中学校の3年間の中では2年生が一番面倒な時期と言われています。1年生は小学校の延長というか、子どもっぽいところがあります。3年生は最高学年ということ自覚も出て、しっかりしてきます。2年生はその間の中途半端な時期でもあるんです。中だるみをしたり、目標を見失ったり、自分というものがあることは発見するんだけども、なかなかそれが定まらなくて、不安定で、いろんなことを不安な時期なんです。エンデバーでは基本的なことを指導していますが、そういった時期だからこそ、より細かく…ファンダメンタルの中のファンダメンタル的なことを指導していくことが大事かなと思っています。先ほども言いましたが、選手たちは緊張をしていると思うし、まだ自分たちの代になってそれほど時間が経っていないみたいで、自分から声を出して練習をするっていう感じではないように思います。そういう習慣が身についていないのかもしれません。ですから、私としてはコミュニケーションが取れるように、積極的に声をかけていこうと思っています。
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