キーワードは「観る」こと。 2日目の今日は「みんなもシュートが打ちたくてウズウズしているようだから」(鷲野コーチ)と、シュートメニューからスタートした。初日の昨日はハンドリングやパス、ピボットがメインでシュート練習のなかっただけに選手たちも嬉しそう。すると今度は鷲野コートたちが嬉しい発見をした。プロテクトシュートをしていたときのこと。「このシュートを普段から練習している人?」って尋ねると、手を挙げたのは数人。鷲野コーチたちは驚いた様子で「みんなレベル高いよ。JOMOの諏訪裕美選手がいたころは、片手でボールが上げられなかったからね。でもみんなできてるもんね。だからトップエンデバーに選ばれたんだけど、それも基本ができてないとできないこと。これはなかなかできるもんじゃないんだよ」と感心しきりだった。 だが、選手のレベルが高ければ高くなるほど、コーチ陣の要求も細かく、高くなってくる。この日の鷲野コーチはほとんどすべての練習で何度も中断させて、ポイントを繰り返し伝えていた。「状況をしっかり観ること。能力のある子は本能でできてしまうけど、それではダメなんだ。人に合わせていくことが重要だよ」。U-15女子トップエンデバーの最重要キーワードは「観る」こと。ただ一点を「見る」のではなく、全体を観察するように「観る」こと。そこから状況を判断していこうというわけだ。2日目の午前練習は、笑顔のなかにも厳しさが込められてきた本格的な練習になっていた。 指導者も勉強中 トップエンデバーは選手だけでなく、指導者を育成するという側面も持っている。この合宿ではトップエンデバーのコーチングスタッフ4人以外にも、9つのブロックエンデバーから推薦されたコーチ9人が参加。さらには自費でこの合宿に参加して、勉強しようという指導者がこの日は7人も来ていた。その自費で参加された指導者の方々はビデオを片手に、トップエンデバーの考え方や練習方法を取り入れようと、コートの外から練習を見つめ、ときに鷲野コーチたちに質問などをしていた。 トップエンデバーのお昼休み 午前の練習が終わると、体育館2階にある食堂で選手、スタッフは昼食タイム。テレビから流れているJOMOの選手とお笑い芸人のバラエティ番組を見ながら食べている選手、同じ席でおしゃべりをしながら食べている選手などみんなリラックスしながら食事をしていた。昼食が終わると雑誌の取材。でもたった1つの質問に各選手は悪戦苦闘。「幸せな結婚生活を…」と言い出しそうな選手も現れて、居合わせた永井晶也コーチの目を点にさせていた。でも体育館に入ると、ホワイトボードに書かれたU-15トップエンデバーの考え方をノートに書き写すなど選手としての自覚も徐々に現れだしていた。 待ちに待った…でも 午後の練習ではまず福田スーパーバイザーから「この合宿はみんなだけでできるものじゃない。いろんな人の協力があってこその合宿です。そういう人たちに感謝をしましょう」と、ボールを提供してくださっている株式会社モルテンの田中孝幸氏を紹介。田中氏も未来の日本代表たちにエールを贈っていた。そして午前の練習の終わりに鷲野コーチから「午後はゲームをします」と聞かされていた選手たちは、ゲームの前のディフェンス練習、カッティング練習を疲れも見せずに取り組んでいた。 そして16:30、ついに待ちに待ったゲーム形式の練習に突入。「今回の重点項目でもあるように、無駄な動き、無駄なプレイはダメだけど、ゲームではしっかり自分の持っているものをアピールしよう!」と鷲野コーチ。するとそれに応えるかのように選手たちもそれまでの練習とは別人のような顔つきでプレイを始めた。ゲーム開始直後こそ初めて組んだチームでコンビネーションが合わなかったり、ミスが続いたが、時間が経つにつれて各選手が自分の持ち味を発揮して白熱したゲームとなっていった。でもそれで終わらないのがU-15トップエンデバー。試合後に恒例の「ボードジャンプ」と「コート5往復のシャトルラン」が待っていたのだ。選手は「え〜っ」と言いながらも、シャトルランではポジション別に競争するような形で行なわれたためか、最後の力を振り絞って全員が、文字通り全力で走りきっていた。
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