平成20年度U-15女子トップエンデバー、始動! 今年もU-15トップエンデバーの季節がやってきた。U-15トップエンデバーは1〜2月に行われたブロックエンデバーで推薦されたメンバーをもとに、3月の全国都道府県対抗バスケットボール大会(ジュニアオールスター)、8月の全国中学校バスケットボール大会(全中)を参考に、全国の精鋭31名が昨年末にできたばかりのナショナルトレーニングセンターに集合した。開講式では、福田悦男スーパーバイザーが「全国に20万人いるバスケットを目指す仲間たちに伝わるよう、このトップエンデバーで一生懸命勉強していってください」と訓示を述べた。続けて井上眞一、星澤純一両U-18強化委員からも、今の世界のバスケットは若年層に目を向けていることが挙げられ、だからこそ目標を持ってバスケットを続けてほしいというエールが贈られた。 また新設されたU-16日本代表の福田精スーパーバイザーからも、「今回はトップエンデバーという育成の場ですが、来年のU-16アジア選手権に日本代表として出場するのは、きっとこの中の人たちだと思う。ぜひ頑張ってほしい。」との激励を受けた。話を聞くにつれ、選手のなかに「自分は、日本の15歳以下20万人の代表なんだ!」という自覚が表れたようで、表情がキリッと締まっていく様子だった。 2年目の存在感 練習はまず、31人を3組に分けて、巨大な空間を存分に使ったフットワークから始まった。先頭は昨年のU-15トップエンデバー経験者たち。1つ目のメニューのときだった。ヒル理奈選手が隣にいる鈴木静香選手に「声、出したほうがいいのかなぁ?」と声をかけていた。すると、すかさず鈴木静香選手が「ファイトォ!」と声を出す。これで一気にコート内の空気が変わった。みんなが声を出し、手を叩き、練習を盛り上げていくようになったのだ。ステップに戸惑う選手がいると、みんなで励ましあっていた。声が出てくると、緊張も解けてきて、笑顔で練習ができるようにもなっていた。前の年に経験したことを次の年につなげていく。こうしてトップエンデバーのいい伝統は紡がれていくのである。 ミスをしない選手は魅力がない? 練習は、徐々にボールを使い、かつ動きのあるメニューへと移っていく。とはいえ、特に難しいことをやっているわけではない。2対2の動きにしろ、レイアップシュートドリルにしろ、むしろ基本的なプレイの確認といったところである。だからだろう。選手たちはミスをしないようにということだけに専心してしまう。鷲野コーチの笛が鳴る。「練習でミスをしない選手は魅力がないぞ。練習でスピードを出すからこそ、試合で全力を出したときに何かが生まれるんだ。ミスをしてもいいから全力でプレイしよう! チャレンジする、トライする気持ちが大切だよ」。練習の終盤でのことだったが、この言葉を受けた選手たちは最後の力を振り絞って、全力でプレイをするようになっていった。 福田悦男スーパーバイザーのコメント 私自身、3年ぶりのトップエンデバーで、ここ最近のそれと比べることはできませんが、最初はみんな硬かったですね。声が出ないし、元気がない。でも、さすがはトップエンデバーに選ばれる選手たちだけあって、順応性が高く、すぐに雰囲気もよくなってきたと思います。プレイもノビノビとしてきました。ムードメーカーであるヒル理奈選手やマウリ・エブリン選手が素の自分を出しているので、みんながそれに引っ張られていったのでしょう。いい雰囲気で初日を終えられたと思います。明日からはゲームもありますが、選手たちが第2回トップエンデバーに向けて今の31人から15人に絞られることをどう受け止めて、ゲームをしてくれるのか。一人ひとり、受け止め方も違うと思いますが、いろんな意味での期待感が持てる残り2日間になりそうです。 今は世界のナショナルチームの年齢層が若年化しつつあります。だからこそ、U-15年代から国際感覚を持って、ナショナルチームで活躍してほしいと思っています。バスケットの技術はもちろんですが、心の部分でも国際人として世界に太刀打ちできるようなものを持ってもらいたい。U-15トップエンデバーに選ばれるということは、「同世代の競技者20万人分の31人」ということなので、そこまで考えてやってもらいたいと思っています。
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