チャレンジ! 合宿2日目の午前は、午後の試合に向けた練習が文字通り「濃密」に行われた。2009年度のU-15トップエンデバー女子のテーマの1つが「ディフェンス」ということで、まずはディフェンスの練習からスタート。すると、早くも鷲野コーチの笛で練習が止められた。「オフェンスがしっかり動かないとディフェンスの練習にならないぞ」。ディフェンスの練習だと思うと、ついオフェンスは手を抜きがちだが、ディフェンスの練習だからこそ、オフェンスの動きが重要になってくる。鷲野語録でいうところの「盾」と「矛」の関係だ。鷲野コーチの言葉から、選手たちの練習への熱がグッと上がっていくのを感じた。 ディフェンスの練習が終わると、日本の永遠の課題でもあるリバウンドに必須の「スクリーンアウト」の練習に入り、続けて、速攻からセカンドブレイクへと続く動きの練習へと入っていく。水分補給の時間はあるものの、短時間に凝縮された練習内容なので、選手たちの集中力も少し途切れがち。すると鷲野コーチから「短時間で、どこまでチームとして共通理解ができるのか、私も注目しているよ」との声がかけられた。これだけ練習が濃密だと選手も新しいことを理解をするのが非常に難しいが、それでもトップエンデバーに選ばれた「自信と誇りと責任」を持って、乗り越えてほしい。1つでも多くのことを学んでほしい。そういう思いが伝わる午前の練習内容だった。 国民体育大会とのコラボレーション 今回の合宿の目玉は、2日目の今日、国民体育大会(国体)のイベントの一環として高校生と試合をすることだ。国体を見にきてくださった観客の方に、バスケットをもっとよく知ってもらいたい。そのためのエキシビジョンマッチのような形で、新潟県ナンバーワンの東京学館新潟高校とするわけだ。試合前に日本バスケットボール協会柿沼憲一国体部副部長から「全国の中学生のスーパースターと、新潟県のナンバーワンチームが激突します。わかりづらいバスケットのルールを私が解説しますので、バスケットを少しでも理解しながら、楽しんで見てください」と主旨が説明がされた。会場は、少年女子の試合を見た観客がそのまま残り、立ち見の人もいるほどだった。 そんななかで行われた試合は、今回の合宿で練習してきた「攻めるディフェンス」が機能し、また序盤こそ合わなかったコンビネーションが徐々に合い始めたU-15女子トップエンデバーチームが61‐50で勝利。東京学館新潟は、ここ数カ月、国体に向けての練習ばかりをしていて、今日出てきた1、2年生のメンバーでは練習をしていないということだったので、結果をそのまま受け入れることはできない。それでも選手たちにとっては、自分たちがやってきた練習がこういう場面で使えるんだ、ということを実感できる試合となった。 鈴木知香子コーチのコメント ゲームがあるということもあったので、各ポジションをこなせる選手が集まっていて、今年のメンバーは「チームとして」すごく成立しているように感じます。何日間かしか練習していないのだけれども、雰囲気もいいし、声を出せる子もいる。その子たちを中心にまとまっていて、すごく一体感を感じます。 ゲームに関しては、選手たちは「緊張していない」と言っていましたが、それでも序盤は硬く、まだまだ中学生なんだなと感じました。そのなかでも森田菜奈枝選手は最初から自分のプレイができていました。それは、彼女が練習のときから、たとえ1人でも声をだしているから、自分のペースを作ることができるわけです。そういった普段の練習から自分のペースを作ることの大切さを、今日のゲームを見て、改めて感じました。 エンデバーでは初めてやる練習や初めて聞く考え方、いつもと違う動き方などを教わります。それに対して、すぐに対応できる選手がトップエンデバーに選ばれる選手です。なので、明日もゲームが続きますが、そのゲームのなかで「あの練習はこういう場面で使えばいいのか」、「あの練習はこういうことだったんだ」って、1つでも2つでも確認できればいいなと思っています。今日のゲームでも、「あの練習の動きを思い出してくれたら」って思うシーンがいくつもありました。自分のチームではずっと試合に出ている選手たちですけど、このチームではベンチにいる時間も大切にして、お互いのプレイを見ながら、練習の確認作業になればいいなと思います。また、自分自身の課題をゲームのなかで見つけてもらえればと思います。
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