ウォーミングアップのウォーミングアップ 今回のU-18女子トップエンデバーでは、ウォーミングアップの前に「ウォーミングアップのウォーミングアップ」の時間が持たれた。時間にして5分ほどのものだが、「腹圧のチェック」と、スクワットで股関節を曲げながら、重心の位置を確認するといったものなどだ。これはU-15トップエンデバーでもやっていたメニューだが、中川菜保トレーナー曰く「高校生になって、腹筋などのバリエーションが増えて、トレーニングをすればするほど、力の入れ方の基本がわからなくなってきたりする選手がいます。ですから、まずは力の入れ方を確認をして、練習に入ることが大切なんです。これを走りながらやろうとすると難しいので、単純な動き(腹圧なら、寝転んで、床を押しつぶすように下っ腹に力を入れる)でやると、自分でも確認しやすいんです」。これから体ができあがる世代なだけに、体づくりと同時に、動きづくりも同時におこなうことで、ケガの予防にもつながるのである。 常時、世界を狙える日本女子! 今の日本女子に求められるのは、細かいことを、いかに確実にしていくかである。今回の合宿では基本的なモーションオフェンスの確認をしたわけだが、たとえばスクリーンプレイ1つを取ってみても、スクリーンを使う前に、逆サイドに一歩フェイントをかけて、それからスクリーンを使うことが重要になってくる。バックドアだとか、UCLAカットといったプレイそのものは、エンデバープロジェクトの成果として、全選手がスムーズにこなしていた。しかし、全国の上位校と、そうでない学校の選手との違いは、たった一歩のフェイントだけなのだ。エンデバーが浸透したことで、間違いなく、日本女子のバスケットのレベルが上がってきていることを実感できた3日間であった。 食欲は旺盛! 3日間、昼食と夕食は日本航空の食堂でお世話になった選手たち。約30センチ×45センチ四方のトレイには、いつも乗り切れないほどの食事やデザート、ドリンクがてんこ盛り。以前、将来を有望視されていたある高校男子のサッカー選手を取材した編集者が「取材後に食事に誘ったら、ねぎ焼き1枚しか食べなかった。その選手は今では…代表に選ばれることもなくなった」と言っていた。食べることも、この世代では重要な「練習」である。体を作ることが、将来の自分につながるわけだから。そういう意味でも平成21年度のU-18女子トップエンデバーのメンバーは将来有望な選手たちだといえる。 講武達雄スーパーバイザーのコメント 今年のメンバーは、昨年の渡嘉敷来夢選手や篠原恵選手といった、背の高さと能力のバランスが取れている選手はいませんが、180センチ前後で中も外もできる選手が、今までよりも多いという印象があります。確かに渡嘉敷や篠原、その前の間宮佑圭選手たちはサイズがあって、能力も高いという非常に稀なケースでした。そういう意味では、今回、さきほどいったような選手が集まってきているのは、エンデバーの成果ではないかと思います。 エンデバーの狙いどおり、各都道府県、各ブロック、全国と段階的に発掘していくシステムは、本当にしっかりできていると思います。ただ、エンデバーが、また少しやり方を変えていく流れもありますので、そういったものをどう強化につなげるのか…強化と育成でしっかりと連携をとっていくことが必要だと感じています。ただ、今まではU-18の日本代表を作るには、下から各エンデバーで積み上げていかないと形が作れませんでした。しかし、U-18の下に昨年からU-16というカテゴリーができて、U-15トップエンデバーから上がってきた選手で最初の日本代表チームが作れる。それを発展、補強していく形でU-18が作れるというのは、強化の流れにおいて、いい要素が増えたような気がしています。
|