競争が楽しさを生む 午前の練習は、天田コーチによるウォーミングアップでスタートした。コートの中の3つのサークルに沿ってダッシュするメニューでは、3人いっぺんにスタートし、1番最初にゴールした人だけが抜けられる競争に。最初は追い抜くことはなかったが、「体を張れ、頭を使え」とコーチが言うと徐々に白熱。「楽しい!」という声が聞かれ、勝った1人は笑顔で喜び、負けた2人は苦笑しながらも並び直す。いい雰囲気でできていた。続いて、昨日も行ったスクリーンアウトドリルや2メンなどのメニューに移ると、それに緊張感が加わった。言われたことができなかったり、イージーミスが出ると容赦なく「やり直し」。終盤の4on4ラリーでは、「この3分を走れなかったら高校生には絶対に勝てないよ」(富樫コーチ)と午後の練習ゲームに向けて気持ちも高めていった。 いよいよ高校生とのゲーム! 食事を済ませると、午後はいよいよ高校生とのゲーム。東京都の強豪高校に胸を借り、7号ボール、1Q10分で行った。スターティングメンバーはキャプテンの杉本らが呼ばれたが、富樫コーチは1日目の練習終了後に「全員出します」と明言していた。エンデバーの目的は“育成”。目先の勝利より、練習したことを発揮するのが重要であり、今回の合宿のテーマは“走る”だった。交代はするから、コートに出たらめいいっぱい走れということだ。結果、1Qは3点差でついていくが、リバウンドやファールトラブルからセカンドチャンスを与えてしまう。一時は20点近く差が開いた。だが、だんだん慣れてかみ合うにつれてその差は縮まり、3Q終了時点には7点差に。最後は“走る”足が止まってしまい、高校生のシュート力が勝るも、随所にいいプレーが見られた。 フルゲームを行ったあと、さらにハーフゲームを2本行ったが、ここではエンデバーチームがリードする場面もあった。3本とも最終スコアでは高校生チームに下回ったものの、この様子を見ていた関係者は「時間を重ねるごとに1人1人がこのチームでの自分の役割がわかってきて、いいリズムになっていったようだ。この選手達が高校、最終的には日本代表で活躍するのが楽しみ。今回はできないが、同年代の子供たちに見せてあげたらそのまま真似はできなくてもいい刺激になるはず」と感心していた。 リピートメンバーの活躍 1日目とこの日の午前の練習で4on4や5on5の練習は行っていたが、外部チームとのゲームはやはり練習とは違っていた様子だった。その中で活躍を見せたのは笹原選手や木村選手、岡部選手といった下級生時からエンデバーに参加していた選手達だ。特に岡部選手は10月の第1回合宿よりも力強さが増していた。岡部選手のお父さん・和行さんは、「中学3年生は全中予選を終えた夏以降バスケができる環境が限られる。この合宿に参加できたことは本人のためになりましたし、私が言うのもなんですがうまくなったと思います」と言っていた。小学生のときから、普段の練習も嫌がることなくコツコツとやってきたという。日本代表として正式な試合、というわけではないが、こうして成果が表れると嬉しいものだ。 天田コーチのコメント 午前中の練習は、第1日目に引き続き「スクリーンアウト」と「リバウンドからの速い展開」をキーに行いました。ただ、午後にいざ練習ゲームをやってみると、それらやってきたことをいきなりは出せませんでした。トップエンデバーの日数が限られており、ここにいる選手達は普段はサイズや能力でできてしまうのが日本の現実です。今日のように自分達よりサイズや速さがある相手には、協力して、走らないと勝てないとこのゲームでよくわかったでしょう。特にインサイドの選手達は、同年代ならブロックできるシュートもステップでかわされて決められてしまう。じゃあいいポジションを譲らないようにしようとすると、当たり負けしてファールになってしまう。ディフェンスがどれだけ大事かを感じたと思います。その認識があれば、今後ボディコンタクトが強くなれば成果も出てくると思います。そういう意味で今日のゲームはとてもいい経験になりました。
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