どれだけ意識してバスケットに取り組めるかが鍵。 9時から始まった練習は、ウォーミングアップから実践的なものだった(もちろんその前にストレッチ等は終わらせてのこと)。昨日やった裏を突くプレイの、形を少し変えたものだったが、選手たちは早くも混乱状態。裏を突くプレイそのものはできるのだが、シュートを打ったら自分はどこに行けばいいのか…リバウンド役になるのか、パッサー役になるのかがわからずに、一定のところに選手が集まってしまう。鷲野コーチから「どうやったら練習がスムーズに回るの? チームで確認しなさい」とピシャリ。 高橋キャプテンが「この動きの次はここだよ」とチームをまとめるのだが、混乱状態はなおも続く。ようやく動きに慣れてきたと思うと、今度は「元気がないよ、声を出して!」と鷲野コーチの声も次第に大きくなってくる。「自分でちゃんと考えないと! みんなは何も考えずに本能でやりすぎているんだよ。それは上のレベルに行ったら通用しないぞ。意識の量でこれからの差が出るんだ。トップエンデバーとしての意識をもっと持ちなさい」と、朝一番から軽い雷が落ちた。 やっぱり選手は実践形式が好き! ウォーミングアップが終わるとすぐに、3年生チームと2年生チームに分けてハーフコートの5対5。昨日の時点で、2人のセンターを配して、フラッシュ&バックドアのエントリー方法を約束事として決めていたが、今日はそこから3つ、4つとバリエーションが増えていく。「これが試合でできるようになったら、おもしろいぞ。でも、これもチームとしての共通理解なんだ」と鷲野コーチ。コーチからの要求は高くなる一方だが、選手たちの目は次第に輝きを増してきたようだ。エンドライン・サイドラインからのセットプレイがあり、午前の最後は速攻の練習だったが、その目の輝きはずっと失われることなく、午後の練習試合に向かっているようだった。 試合でできたこと、できなかったことをどう生かすか。 午後は高校生との練習試合。8分の試合を9本。結果としては1勝6敗2分だったが、勝ち負けよりも、昨日の午後と今日の午前でやった練習がどこまで出せるかがポイントだった。最初の2、3試合は相手の得意とする3ポイントシュートに苦しめられたが、徐々にディフェンスもアジャストしはじめてきた。コーチ陣からは「キミたちの優位なところは何?背の大きさだろう?相手はそこがイヤだから3ポイントで攻めてくるんだよ。相手の弱いところを突くのが、これまでやってきたことだろう?それを使ってみよう」と声がかかる。するとセンター陣が高校生相手にパワー勝負をしかけたり、ハイ・ロープレイを決めたりした。そのセンター陣がフラッシュをすると、空いたゴール下にフォワード陣が飛び込み、そこにパスが通る。そんなプレイがいくつも見られるようになった。 ただし、大事なところでリバウンドが取れなかったり、ルーズボールを奪われてしまったり、はたまたフリースローを落としてしまったりと次への課題もはっきりと浮き彫りになった。相手チームのコーチは「個々の素質はいいのだけど、そこで満足してはダメです。上には上がいるんだということを意識して、もっと頑張ってほしい」と言っていた。個々の能力だけではなく、チームとして動くことができるか。明日の天皇杯・皇后杯を観戦して、そのなかで何かを発見してもらいたい。 鈴木知香子コーチのコメント 練習の中の切り替えや、選手同士のコミュニケーションが取れていないことが、そのまま試合にも出たように思います。選手も、チーム以外の人と試合をする大変さに気がついたでしょう。どんな相手であれ、バスケットのファンダメンタルが、技術だけではなく、切り替えやディフェンスの連絡の声なども含まれていて、それが当たり前にできないと試合にはならないんだなと、私自身も気がつきました。明日は天皇杯・皇后杯の準々決勝を観戦しに行きますが、自分の中学ではセンターなどをやっている170センチそこそこの選手に、同じくらいのサイズのWJBL選手がどんな動きをするのか見てもらいたいと思います。それくらいの身長なら、中学生でいう150センチクラスの動きをしますからね。そこから何かを学び取ってほしいと思います。
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